「お、坊主、いいもの持ってるな」
林の中から呼び止められたよ。
軍服の男の人が、たき火を焚いて何か御飯を作ってる…。
（なんだかこの人の子孫には、いつかどこかで出会うような予感がするぞぉ〜）
「俺は自分を鍛練するために、ここでしばらく野宿生活を続けているんだが…。
今日の献立のシチューに必要なタマネギが足りないんだ。
坊主が持っている、それを譲ってもらえんか？」
「え？ これはお花の球根だって聞いたけど…」
男の人は僕の球根をしみじみ見つめると
「うん、大丈夫。これは食べられる！」
と頷いて、あっという間に皮を剥いて
ザク切りにして、お鍋に放りこんじゃった…。
あああ…お花が…。
「坊主、食べていけ。美味しいぞ」
がっくりしたらお腹も減っちゃって、
球根のシチューを御馳走になることにしたんだ。
確かに…美味しかった。
美味しかったけれど…
「はぁ…お花なくなっちゃった…」
と呟いたら「なに？ 花？」
男の人は膝を打った。
「そうだ！ 熊退治の為に花火セットを持ち歩いているんだが
タマネギの代わりに坊主にやろう」
と、花火のセットをテントから引っぱり出してきたよ。
お花が花火に変身しちゃった…。