帰り道を急いでいたら
「少年よ…」
なんだか高貴な声音がしたよ。
振り返ってみたら、おでこと目尻に入れ墨をした
エキゾチックな男の子がそっと僕を手招いているんだ。
（なんだかこの人の子孫には、いつかどこかで出会うような予感がするぞぉ〜）
「少年よ…その手に持っているものは…」
「できたてほやほやのハンバーガーだよ」
「ああ…それがハンバーガー…ですか」
男の子は頬を紅潮させて僕のハンバーガーを見つめてる。
「私は高貴な家柄のせいで、そのような庶民の食べ物を
これまで食べたことがないのです…。
今日は警護の者たちをまいて、
やっとお忍びで街へやってきたというのに
お金というものを持参しなかったために
何も買うことができずにいるのです…。
普段私達は金銭で何かを買うということは必要ないので…」
へぇ〜。
僕達は守護聖だけれど、お小遣いはもらえるから
この男の子よりは幸せなのかもしれない…。
「ああ…せっかく庶民の味を口にできる千載一遇の
チャンスだったというのに…」
肩を震わせる男の子に、僕はハンバーガーを差し出した。
「よいのですか？ なんとありがたいっ」
男の子は、まるで宝物を手にするように
大事そうにハンバーガーを受け取ると
頭を飾っていた青い羽根を一本抜いて、僕にくれたんだ。
「これは我が王家に伝わる幸せの青い羽根です。
あなたの優しさに幸せが訪れるように…」
綺麗な青い羽根…ジュリアスの青い瞳と同じ色だよ。
きっと金色の髪に飾ったら綺麗だろうなぁ。
いいものもらっちゃった！